大人気のアイスキャンディー「ガリガリ君」の正直な値上げ術
あなたは「ガリガリ君」というアイスを知っていますか?
「ガリガリ君」とは赤城乳業が製造、販売するアイスのことで、1981年の発売開始以来、赤城乳業の看板商品となり今もなお売れ続けている商品です。
今回はその「ガリガリ君」の値段を60円から70円に上げた時、赤城乳業がやったことを紹介したいと思います。
まずは、この1分間のテレビCMをご覧ください。
2016年4月1日、「ガリガリ君」は25年ぶりに60円から70円に10円の値上げを実行しました。
実はこの値上げはかなり前から赤城乳業の社内で議論されていて、実施した場合の客離れを心配して、なかなか踏み切れずにいたのです。
でも、60円の値段では「ガリガリ君」単体では利益が出ない状態でしたので、まさに苦渋の決断をしなければならない状況でした。
しかし、そんな心配とは裏腹に実際に値上げをした月の販売本数が前年比の10%増になったのです。
なぜ、そんなことになったのでしょうか?
その秘密こそ、最初に見てもらった1分間のテレビCMの中に込められています。
赤城乳業全体として「値上げ」に真摯に向き合い、社員一同の誠実な思いを広報や広告を通じて告知したのです。
そうしたところ、このようなたくさんの声が寄せられ、値上げが逆に大幅な売り上げ本数増につながりました。
「10円値上げするだけでCMを作り社員幹部が出席し、頭を下げるこんな誠実なCMは他にない」
「それでも他のアイスより安い。これからも買う」
「一口サイズで食べやすくなりました♪とか言う姑息な手段で儲けるメーカーが多いのに、こんな正直なCM打たれたら逆に応援したくなるわ」
「値上げに踏み切ったことがニュースではなく、25年間も値上げしなかったことがニュースなんです」
「常識の範囲内なら、どれだけ値上げしてくれても良い。最悪夏季限定商品になっても良いから、ガリガリ君だけは永遠にあのままで居てほしい。」
「色んなお菓子を作ってる会社が値上げしたり量減らしたりしてる中、あの満足感のあるサイズで25年間値上げしなかったガリガリ君は本当に尊敬に値する」
さて、あなたはこの「ガリガリ君」の話から何が学べましたか?
人によって色々なことを感じると思いますが、この話から学べることはお客さんと真摯に向き合う誠実な姿勢、そして、その姿勢を明確かつ正直に伝えることの大切さです。
言うまでもないことですが、どんなビジネスでもお客さんがいなくなってしまえば成り立ちません。
そして、企業はお客さんに対して価値を提供し続けられるからこそ存続できるのですが、時にはお客さんに対して理解をしてもらうことが必要になる時があります。
そんな時こそ、ごまかさず、正直な気持ちでお客さんとコミュニケーションしていくことが最も大切なことなのではないでしょうか?